『沈黙の記憶1948年 砲弾の島伊江島米軍LCT爆発事件』謝花直美著、インパクト出版会、2022年、1,980円
1948年8月6日夕方、125tの米軍砲弾が爆発し107人死亡した事件。当時は米軍支配下にあったため、できたばかりの沖縄タイムスは7行の記事しか載せなかった。この事件だけでなく前後のことを含めて聞き書きを中心に描かれている。著者の伝えなければという、ジャーナリスト魂を感じた一冊である。
1943年夏から日本軍飛行場・陣地壕建設の労働者として住民が使役されたこと、住む家を日本兵に奪われたこと、米軍上陸後、アハシャガマでは120人ほど集団自決で亡くなり、日本兵からも殺されるのでガマから出られなかったこと、戦闘が終わり米軍飛行場建設のため、住民が立ち退かされたこと、1947年春、ようやく2年余りの仮暮らしを終えて、伊江島に戻ることができたこと。
米軍が日本「本土」を攻撃するために弾薬を伊江島に集積していたが、日本が降伏したために不要になり、一部を中国国民党軍に売っていた。その他の弾薬を海に捨てていた。弾薬集積場は良い働き場所でもあった。事件後も遺族は苦しい生活を強いられた。中には米軍に育てられた人もいる。(六風堂)
(ひきとり新聞第19号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
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