『醜い日本人―日本の沖縄意識』(岩波現代文庫)大田 昌秀著、
岩波書店、2000年、1,496円
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本書の旧版は、本土復帰運動が高まりつつあった1969年に出版された。この新版はそれから30年後の2000年に、「痛恨の思いを込めて、今一度、本書を世に問わざるを得ない」として出版されたものである。
その痛恨の思いは、最後の第4章が、「沖縄・自由への道」から「醜さの根源」へと全面的に書き換えられたところに明確に示されている。「日本人は醜い―沖縄に関して、私はこう断言することができる」とのまえがきから始まる本書は、沖縄戦下の日本兵による沖縄人殺傷、集団自決の強要、基地の沖縄への集中過程など、「日本人の醜さ」への筆致に緩みがない。
そして、われわれ引き取り運動に関わるものとしては、とりわけ大田の次の警句を肝に銘じておきたい。「本土同胞のひとりひとりが、沖縄の実態を把握することを、自らの義務として、取り組んだとき、初めてその認識は、「全国民の声」に結集され、異民族による軍事占領という屈辱的事態を変革し、真に日本の独立を達成する力に転化できるのである」。(吉村)
(ひきとり新聞第12号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
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