『米軍基地の歴史―世界ネットワークの形成と展開』 林 博史著、
吉川弘文館、2011年、1,870円
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在日米軍は日本を守るためにあるのではない。あくまでアメリカ本土を守り、アメリカのグローバルな国益を守るために駐留しているのである。
本書は、ともすれば多くの日本人が認めたがらないこの当然の事実を、第二次世界大戦後の海外の米軍基地形成過程をたどることによって実証している。敗戦国や、英仏の植民地ネットワークを土台として全世界的に展開された米軍の海外基地の狙いは、あくまで米国の敵対勢力を本土からはるか離れた前線で撃破することだった。こうした超大国アメリカの身勝手な国際戦略が冷戦下も冷戦後も「変更すべきでない現状」としてまかり通っているのだ。
米中対立の中で、日本政府が「前線」を自ら引き受けようしている現在、「何のための米軍基地か」を見据える必要がある。
本書が、戦後史における戦争責任問題回避と米軍基地容認との結託を指摘している点も重要である。(門倉)
(ひきとり新聞第12号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
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