合意議事録という不誠実

(ひきとり新聞第11号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)

『日米地位協定ーー在日米軍と「同盟」の70年』山本 章子著、中公新書、2019年、924円

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沖縄で事件・事故が起こるたびに在日米軍の権利を保証する日米地位協定の改定が叫ばれてきたが、本書はそれでは問題は解消され得ないと主張する。なぜか。

日米地位協定は1960年の日米安保改定時に、占領期の米軍特権が色濃く残る日米行政協定を改正したもの。自国の利益を最大限追求するアメリカをなんとか説得するために、日本政府が「合意議事録」という「密約」を取り交わしてようやく改正にこぎつけたという経緯がある。

文言上は「改正」されたのだが、実際は「合意議事録」によって占領期そのままの米軍の排他的な自由運用は担保されてきた。しかもそれは国民の与り知らぬところで2000年代初頭まで非公開とされてきたのだ。だからこそ著者は、この不誠実な「合意議事録」こそまず撤廃すべきだと主張する。

では、どうすればそれができるかというと世論が動かすしかないという。世論とはつまり私たちのこと。折しも衆院選が近い。各政党・候補者の公約を吟味しつつ投票行動で示していきたい。

(里村)

本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会(FIRBO)

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