西日本新聞人気コラムで紹介されました

 西日本新聞の人気コラム「永田健の時代ななめ読み」で基地引き取り運動と『沖縄の米軍基地を「本土」に引き取る!市民からの提案』(コモンズ)について紹介してもらいました。

 「後ろめたさを大切にして」 ぜひ一人でも多くの方に読んでいただきたい内容です。

   *    *


「後ろめたさを大切にして


テレビや新聞で沖縄の米軍基地問題に関するニュースに触れる。市街地の真ん中に居座る普天間飛行場。新基地建設のため埋め立てられていく辺野古の海-。

  それを目にしたとき、本土の住民はちょっと心がざわつく。自分の胸に起きたそのざわつきを観察すれば、かすかな「後ろめたさ」や「居心地の悪さ」であることに気付くはずだ。

  日米安全保障条約に基づいて、米軍は日本国内に基地や施設を置くことができる。どこに置いてもいいのだが、実際には在日米軍の専用施設の約7割が沖縄に集中している。

  一方、安保条約で守られ安心して暮らしているのは日本国民すべてである。恩恵は本土もまんべんなく受けるのに、コストは沖縄が7割を引き受けさせられている。普通に考えれば、これはやはり不公平である。

  本土の住民も実はそこに気付いている。自分の平穏な生活が、誰かを犠牲にした「不公平」の上に成り立っている。その事実が今日も心をざわつかせる。  

  ◇    ◇

「沖縄の米軍基地を本土で引き取ろう」という運動が今、静かな広がりを見せている。沖縄の「普天間飛行場県外移設」の主張に呼応して始まり、福岡や首都圏などで市民グループが発足。連絡会をつくり各地で勉強会などを開いている。

  4月には各地のメンバーが活動を始めた経緯などをつづった本「沖縄の米軍基地を『本土』で引き取る! 市民からの提案」(コモンズ)が出版された。私も出版記念イベントに行ってみたが、盛況だった。 

 この運動の論理をごく短く要約すると、こうなる。

  「世論調査によると、日本人の8割近くが日米安保体制を支持している」 

 「同時に、基地が集中する沖縄の負担が過重になっているのも明白である」

  「だとすれば、沖縄の基地の一部または大部分を、有権者の99%が住む本土に移し、負担の公平化をはかるのが現時点で一番の解決策だ」

  とっぴな主張に思えるかもしれない。政治的な実現性も不透明だ。しかし、私が本土の人間として沖縄への「後ろめたさ」と向き合ったとき、この論理は胸にすとんと落ちるのだ。

    ◇    ◇  

「後ろめたさ」を打ち消すには、例えばこんな方法も可能だ。 

 「沖縄だって基地で潤ってるんでしょ」「中国や北朝鮮の脅威があるから、沖縄に置いておく必要があるらしいよ」。どこかで聞いた言葉を検証せずに借り、沖縄の現状を正当化すれば心のざわつきを強引に抑え込めるかもしれない。

  しかし私は、その「後ろめたさ」こそを大切にしてほしい、と思うのだ。

  基地問題に限らない。ニュースでは日々、社会のさまざまな不条理が報じられている。地球温暖化、児童労働、海洋プラごみ-自分がそれなりに幸福に暮らす一方で、理不尽に苦しむ人たちがいる。もしかしたら自分の便利で快適な暮らしが、その人たちとの「不公平」によって成立しているのではないか。ざわついた心で、少し考え込む。

  もちろん結論は一つではなかろう。しかし、そのざわざわとした感覚を見つめることが、私たちが何かしら社会に関わっていく出発点となる。「誠実」とは恐らく、そういうことなのだ。

  (特別論説委員)」

FIRBO

本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会 Fukuoka Initiative for Return of U.S. Military Bases in Okinawa to Mainland Japan