1月から3月にかけて。

1月のおわりに、長崎県五島列島にUさんをたずねました。五島にてFIRBOの活動に賛同いただき、引き取り活動をしているUさん。その日はUさんの知人や友人たちが集まり、町の会議場で僕たちFIRBOの活動についてお話してきました。

望むのぞまざる、様々な立ち位置はあるかもしれませんが、私たちは概ねこの国の社会制度および民主主義の政体を容認し生きている。であれば、この沖縄に過剰な基地負担を強いる状況は、決して平等かつ正常な状態とは言えない。その様なことをお話しました。

しかしながら五島には五島の事情もあります。Uさんの友人たちは五島への自衛隊誘致に対して強く反対している。してみると、沖縄の基地を引取るといっても、結局は地方の弱い自治体に押し付けられるだけなのではないか。重要な問題提起もありました。

ですが五島のUさんの友人たちは、僕たちの議論にも辛抱強く応答してくれました。決して沖縄の問題や、米軍基地負担の不平等がこのままであって良いはずもなく、同じ地方自治体として、沖縄の現状に対し、より深い理解をいただくことができました。


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その同じ1月。宜野湾市の市長選がありました。「争点隠し」といわれ、辺野古新基地計画の是非についてあまり言及しない現職が大差をつけて勝った。この結果について政権幹部たちは「オール沖縄」の主張がまるで大げさであったかのような見解を示していますが、だからといって沖縄が「辺野古」を含め、在沖米軍基地を容認しているとは言い難い。

ともすると僕たち本土の人間は、こうした一つの事象に拘泥し、沖縄の基地問題をさも他人事のように論評しがちになりますが、僕たちの基地引き取りという観点は、たとえば沖縄の声を代弁するということでもなく、本土の人間が、この国の基地問題の圧倒的非対称性に気がつき、その結果として、自分たちが沖縄を差別していることに気がつくことが重要だと思います。

沖縄が本土や在沖米軍基地に対してどの様な気持ちでいるのか、まずは本土の側から既成概念を捨てて、耳を傾けることをしていきたい。


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2月。久しぶりにFIRBOのミーティングがありました。元福岡市長の山崎広太郎氏にも参加いただき、FIRBOの活動として、引き取りの是非をもっと地方自治体や、その首長に訴えかけるべきだというご意見を頂きました。氏の心うちには、この国における地方自治と民主主義の醸成という思いがあります。もっと市民同士が自由闊達な世論を構築していくべき。そうした観点から、FIRBOの活動に対しても、深い理解を頂いています。


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3月。先日某国際法学者のK先生とお会いしました。K先生も沖縄の問題に強い関心を示していて、沖縄の問題は人権問題でもあり、こうした人権問題が、世論では地政学などの政策論にすりかえられてしまう。民主主義(多数決)という制度にもある種の限界があり、このような少数者の権利は国際法によって保護されており、日本国憲法(98条)にも国際法の尊守がうたわれているなど、熱く語っていただきました。

K先生のお話からは、法学者というものが、いかに苦心惨憺して法を解釈し、それが正しく運用されるべく学者生命を賭しているのかが感じられました。そこには、現在の社会情勢にそぐわないから「変えるべきだ」などという、短絡的な見解は微塵もありませんでした。


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こうした流れの中3月、辺野古新基地訴訟に関して、国、県双方が福岡高裁那覇支部が示した和解案を受け入れ、和解が成立しました。以下は朝日新聞(3月5日)の社説抜粋です。

『福岡高裁那覇支部が示した和解勧告文には、こうある。

 「本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである。そうなれば、米国としても、大幅な改革を含めて積極的に協力をしようという契機となりうる」

 そのために、普天間の機能の県外・国外への分散を進める。政府と県だけでなく、本土の自治体とも話し合い、米国との協議に臨むべきである。「辺野古が唯一の選択肢」という思考停止を脱し、県との真の和解をめざす。そのための一歩を踏み出すべきときだ』

その他の地方紙をみても、県外移設の論調が目立ちます。


沖縄の米軍基地問題は、まさに私たち日本人一人ひとりが考えるべき、この国の問題なのだと、あらためて思いなおします。


(に)


FIRBO

本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会 Fukuoka Initiative for Return of U.S. Military Bases in Okinawa to Mainland Japan