『ぼくたち、ここにいるよ《増補版》 高江の森の小さないのち』アキノ隊員著、影書房、2023年、2,200円
アキノ隊員こと、ちょう類研究者宮城秋乃さんによる、沖縄県北部・高江の森の生き物の本。たくさんの貴重な写真と、それらにつけられた解説は彼女が読み聞かせしてくれているようで楽しくなる。
真正面のトンボの顔、肌触りまでつたわってくるカエルの接写。ぺらっと閉じた葉っぱがチョウの巣になっている様子、幼虫が小さいながらも威嚇しているかわいい姿・・どうやって撮ったの? 観察を続けていないと気付きもしないだろうなあ、なんて、ワクワクしながらページをめくるが、本の後半ではその森の危機について語られる。まんまるのオレンジ色にむきだした赤土の地面が森の中にぽっかりあらわれる。米軍のヘリパッド建設工事で森が壊された様子だ。そして大量の米軍廃棄物も。
日米地位協定で責任の所在もうやむやにされ、また、この森が世界自然遺産登録された事では基地の存在さえ正当化されてしまう。不条理を是正し、愛する森を守るため行動するアキノ隊員を理解する一助ともなった。(ひきトリ)
(ひきとり新聞第19号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
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