【日本はヤポネシアの鬼子か?】
「ヤポネシア」は奄美に住む文学者島尾敏雄が奄美から日本列島や南島諸島をトータルに捉え直す用語として1960年代に提起し、谷川健一をはじめとして当時の知的世界に強いインパクトを与えた。
日本(=日の本)という国名が中国の東に位置していることを表しているように、日本文化は大陸のことを意識し過ぎている、と島尾は考える。虚心に太平洋の地図を見わたせば、日本列島はポリネシア、ミクロネシアなどの島嶼群の一員、つまりヤポネシアなのである。
こう捉え返すことによって、外国旅行をしても「なかなか抜け出せない日本」から抜け出すことができ、日本の諸地域の多様性を見つけることができる、と島尾は言う。諸地方の中でも多様性を強く匂わせているところが、琉球弧と東北である。両者が体現している「深層の日本」については巻末の奥野健彦との対話がそのさわりをスリリングに提示している。
(門倉)
(ひきとり新聞第18号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
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