『沖縄という窓 クロニクル2008-2022』 山城 紀子, 松元 剛, 親川 志奈子著、岩波書店、2022年、2,420円
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私は2008年から1年間那覇に住んだことがある。「ナイチャー」(内地の人)という語の含みも知らず、沖縄の人たちが基地を押し付けられているがゆえの葛藤や「本土」への怒りなどについてまったく想像が至らなかった。
奇しくも本書は、2008〜2022年までの14年間、雑誌『世界』で連載された、沖縄出身の3名のエッセイをまとめたものである。鳩山元首相の県外移設発言、撤回、オスプレイ強行配備、翁長知事の誕生、死亡、デニー知事の誕生、県民投票、「土人」発言……ページを繰るたび、このたった十数年の間に、どれだけの出来事が沖縄に集中し、人びとの心はかき乱されてきたかとその重みと自らの軽さを痛感する。
沖縄の軍事要塞化が一層おしすすめられる現在、事態はより深刻化している。
2015年に基地引き取り運動が起こったことで「私たちの声が初めて人間の声として聞かれたという安堵を覚えた」と綴る親川志奈子さんのメッセージを、いま一度胸に刻みたい。(里村)
(ひきとり新聞第17号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
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