『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』
樋口耕太郎著、光文社新書、2020年、900円
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本書の内容は2016年にウェブで発信されて百万人に読まれ、多くのウチナーンチュから共感的な反応を得た、とのこと。
著者は、酒税減免措置によって圧倒的優位を保持し続けたオリオンビールの経営を、補助金頼りの沖縄経済の典型例としてあげる。また、同様に圧倒的シェアを誇るスーパーのサンエーは、沖縄の消費者の消費保守主義の産物だと言う。
買い慣れたものに執着する消費保守主義は、同調圧力の強さと身内主義の現れであり、こうした同調圧力が有能な人材を排除し、沖縄の貧困構造を形成する。
したがって、同調圧力の根底にある「自尊心の低さ」こそが沖縄の貧困の「本当の理由」だと言うのである。そして、相手の自尊心を高めるためには、人の話しを傾聴する姿勢が大切だ、と心理主義的、人生論的な解決策(?)を展開する。
学問的な裏付けの乏しい、文化論的、県民性論的議論が一定程度受け入れられている現状を、上記の本(安里・志賀)は真剣に批判している。(てんきりん)
(ひきとり新聞第17号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
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