『なぜ基地と貧困は沖縄に集中するのか? 本土優先、沖縄劣後の構造』 安里長従・志賀信夫著、堀之内出版、2022年、2,400円
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近年、嫌沖本がどぎつさを増すのに加えて、沖縄の貧困を沖縄の人々の本性に由来すると説く本(下記、樋口の本)が耳目を集めている。筆者たちはこうした傾向に危機意識をもち、沖縄の貧困問題は基地集中と同じ原因、つまり「本土」による沖縄の構造的差別によることを解き明かす。米軍統治下におかれた沖縄では本土におけるようなインフラ整備や社会福祉は十分になされないまま、復帰後も海洋博を梃子として本土大手企業中心の市場構造に組み込まれてしまったのである。
そして、この構造的差別は戦後から始まったわけでなく、薩摩藩による琉球侵攻以来の歴史的な重層過程を経ているのだ。
著者の一人、安里は、辺野古新基地建設の必要性と妥当性を地方議会に問う「新しい提案」の代表者である。安里は本書で、「本土優先・沖縄劣後」という構造的差別は日本国憲法第14条が保障する平等権の侵害である、と議論を深めている。(門倉)
(ひきとり新聞第17号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
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