『すごい詩人の物語――山之口貘詩文集 人生をたどるアンソロジー』 山之口貘著、立案舎、2019年、1,980円
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すごい詩人の詩を読んだ。このすごい詩人は山之口貘といい、明治から戦後にかけて生きた人。沖縄で生まれ育ち、絵の勉強のために上京して、詩人になった。
この本には、「住所不定」「結婚と暮らし」「故郷沖縄」「戦争風刺」「歌になった詩」の5章からなる詩集の他に自伝的小説といくつかのエッセイが収録されている。
はじめに「詩とはなにか」という詩論ではじまる。40年近く詩を書いていて詩がなんなのかわからないが、かゆいところを掻いていたのがとまらなくなったようなもの、だそうだ。「座布団」という詩では本当のかゆさではなく生活のかゆさを思い出す。「鼻のある結論」という詩は、汲み取り屋になって生きた時の詩。汲み取り屋のぼくはかゆいところを探して掻いた(書いた?)まで。詩とは何かははっきりわからなかったけど、詩人になるにはかゆいところを探してかきむしればよさそうだ。貧乏ならなおよしか。なんのために詩を書くかについては「鮪に鰯」という詩を紹介することで答えとしている。読んでみて。(カピバラ)
(ひきとり新聞第16号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
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