『基地問題の国際比較―「沖縄」の相対化』 川名晋史編、明石書店、2022
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沖縄の米軍基地過重負担問題はどうしたら解決できるのか?
本書はサブタイトルに「『沖縄』の相対化」とあるように、このあまりにも長く議論され論点が拡散されてしまった問いを「棚卸し」するために、他の接受国、地域で起きている米軍基地受け入れ問題の考察を行い、国際比較によって問題解決の視座を得ようとした意欲的な一冊となっている。
なかでも注目すべきはグリーンランドの論考である。冷戦後に確立した、米国・デンマーク(接受国政府)・グリーンランド(地方政治主体)という三者間協議の存在によって、グリーンランドは政府への発言権が増し、チューレ空軍基地の運用に意見を反映させる機会を得ているのだという。
じつはデニー知事も三者間協議「SACWO」の設置を政府に提案しているが、政府は「辺野古が唯一」として一顧だにしない。問題解決のためには、この問題は私たち国民の問題であるという視座がどうしても必要となってくる。(さとちん)
(ひきとり新聞第14号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
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