『沖縄の歴史と文化』 (中公新書) 外間 守善著、
中央公論新社、1986年、770円
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私が食卓でヘビロテするお皿はやちむん(沖縄の器)の7寸皿なのだが、このやちむんのルーツについて恥ずかしながら考えたことがなかった。
本書は言語学者で沖縄最古の歌謡集『おもろさうし』研究の第一人者である外間守善氏による初学者向けの沖縄文化史概説である。特徴は島尾敏雄のヤポネシア構想にならい、太平洋文化圏に位置する沖縄の歴史と文化を、日本列島の文化の根っことして紹介している点だ。
たとえばやちむんの創始は南方の酒器であるとされているが、その後朝鮮、中国、薩摩の陶芸が沖縄で融合し、沖縄的な美意識で包み込んだ鮮やかな結晶であるのだという。泡盛や染織も同様に、ルーツを単純に色分けできない、複合的で豊かな文化の重なりこそが沖縄文化の特色であると強調する。
80年代に開かれたNHK市民大学講座をベースにしているため、外間先生の講義が非常にわかりやすく伝わってくる。
(さとちん)
(ひきとり新聞第12号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
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