『古琉球 海洋アジアの輝ける王国(角川選書)』 村井 章介著、KADOKAWA、2019年、2,420円
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「古琉球史はなんてったっておもしろい」で始まるこの本は前近代の琉球について、各国に残るありとあらゆる史料と人種論・言語などから分析したもので、日本とは異なる独自の文化があったことがよくわかる。琉球人の起源(確かなことはわかっていないが)、その後中国文化が流入。王国が誕生して東南アジアと明とをつなぐ「中継貿易」で栄える。世界に開かれた繁栄の時代を経て島津氏の琉球征服。1冊に収まっているのが嘘のような圧巻の内容だ。
沖縄の歴史というと近代以降の琉球併合や第二次世界大戦前後についてばかりだが、古琉球の時代を知り日本史とも並行してみてみたい。たとえば遣唐使のころ奄美からの貢納物の付札が大宰府に残ってると知るだけで、ここ福岡と琉球が近づいたような気がする。こうした「琉球史科学」は最近、盛り上がりを見せているそうで、分析が進めばもっと見え方が変わりそうだ。(つちふまず)
(ひきとり新聞第16号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
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