『沖縄の歩み (岩波現代文庫) 』 新川明, 鹿野政直編集, 国場幸太郎著、岩波書店、
2019年、1,452円
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73年刊の児童書の復刻。平易な文章で日本復帰までを描いている。薩摩の侵略以降搾取と差別の下に置かれたことには心が痛むが、他方内部にも分断や利害関係があることにも注意が払われており、 一枚岩になれない沖縄への無念が感じられる。ただ一度、島ぐるみの土地闘争のみが時を得た瞬間であり、沖縄全体の連帯が成立すると同時に本土の高い関心も得られ、米の行動変容を促した。連帯した沖縄の潜在力を示しながら、しかし二度目の機会はなく米日都合の復帰が実現し、著者は未来に希望を託し筆を置く。
著者は人民党事件で壊滅的状況に陥った革新勢力を地下活動で支え、党派を超えた人間的な信頼関係を大切にして島ぐるみ闘争の下地となる各勢力との協力関係を築いた陰の功労者。後に追放され60年に沖縄を離れている。復帰直後に著者は、当時のおとなにではなく未来のおとなに語りかけることを選択した。50年後の私たちはそれに応えられているか改めて反省したい。(ササキ)
(ひきとり新聞第15号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
https://firbo.themedia.jp/posts/37919079
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