『つながる沖縄近現代史:沖縄のいまをかんがえるための十五章と二十のコラム』前田勇樹, 古波藏契, 秋山道宏著, 編集, 監修、ボーダーインク、2021年、2,420円
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琉球王国へのペリー来航から現在まで時間軸にそって記された、「十五章と二十のコラム」にわたる沖縄近現代史の入門書。書き手は沖縄と「本土」の若手研究者を中心に多様な人材を起用しており、気の向くままにあれこれ読んでいるうちに沖縄近現代史研究の概要と争点を大まかに把握できるようになっている。
本書の特徴としては、従来の「本土」と沖縄の「抑圧や抵抗」という歴史観をあえて採らなかったと編者が明記しているように、沖縄内部でなされてきたエスニックマイノリティに対する差別や日本への主体的な同化など、「加害と被害」が入り混じる複雑な歴史を描くことに努めている点である。
ただ、筆者の印象としては、そのような編者の意図とは裏腹に、「本土」と沖縄の「抑圧や抵抗」を描く論考も多数収められている。避けようにもあふれ出す立場性が現れている点こそが、本書の厚みであるとも言える。(さとちん)
(ひきとり新聞第15号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
https://firbo.themedia.jp/posts/37919079
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