沖縄返還50周年に際しての、本土メディアの特集記事、特集番組の内容は全体として、期待したよりも低調に思えた。
その中で、朝日新聞「福岡の発展約束した米軍基地返還」(5月2日)は、反基地闘争を闘った元九大生が、板付基地が返還されて福岡空港になっている現状に対して「(沖縄への)無自覚な加害」を感じていることを伝えている。一方、石垣市の新市長に対する記者会見で、ある全国紙記者は「ロシアによるウクライナ侵攻はあすの台湾、尖閣との議論がある。シェルターを整備する考えはないか」と質問した(毎日新聞5月22日「沖縄論壇時評」)。沖縄タイムス4月24日付コラムが嘆くように「沖縄側に覚悟を迫るような政治家の発言、報道は勢いを増すばかりだ」。
朝日新聞(5月26日)論壇時評「沖縄「復帰」50年、交差する抑圧を見つめる」(林香里)と、『世界』5月号の「グローバル連帯史のなかの沖縄1972」(阿部小涼)は、近年の沖縄論の収穫の中に差別構造へのまなざしの深さとグローバルな連帯意識を見ている。
沖縄密約を暴いた西山太吉インタビュー(『ジャーナリズム』5月号)は重要な歴史の証言として見逃せない。(門倉)
(ひきとり新聞第14号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)
0コメント